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歯を再生する薬を届けたい──先天性無歯症に挑む、トレジェムバイオファーマの挑戦

  • 再生医療

歯を再生する薬を届けたい──先天性無歯症に挑む、トレジェムバイオファーマの挑戦

インタビュアー

代表取締役社長 喜早ほのか氏

公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院 保健・健康研究部 研究主幹, 歯科口腔外科主任部長 髙橋 克(現職)

「歯を失うことが怖くない社会」に向けて


歯の再生医療薬「TRG035」の開発で注目を集める創薬ベンチャー、トレジェムバイオファーマ株式会社(以下トレジェム)。先天性、後天的要因で十分な数の歯を持たない患者に対して、世界初となる治療薬「歯生え薬」の実用化を目指して開発を進めています。

このプロジェクトの中心が、代表取締役社長の喜早氏と取締役CTOの高橋氏です。お二人の原体験、創薬の道のり、そして会社の展望について伺いました。

▲左:代表取締役社長の喜早氏 右:取締役CTOの高橋氏

歯の再生研究から起業へ


──お二人がこの研究に取り組むようになったきっかけを教えてください。

喜早氏:
私は中学2年生のとき、顎の骨の病気で歯を失いました。そのときに出会った歯科口腔外科医に憧れたのが、歯科医師を志した原点です。その後研修先の京都大学で高橋先生と再生医療に出会いました。患者としての経験と、恩師の存在が開発のきっかけです。

高橋氏:
私は家族に医療関係者が多かったこともあり、自然と歯科の道に進みました。京都大学で分子生物学を学び、再生医療の道に進む中で「一つの歯の分子を操作すれば、歯を再生することは可能ではないか」と考えたのが研究の出発点です。弟子である喜早さんが「ビジネスでこの夢を届けたい」と手を上げてくれたことは、会社設立への大きな原動力でした。

──お二人とも歯科領域に対して長年の想いがあるんですね! それでは、プロダクト「TRG035」について教えてください。

喜早氏:
「TRG035」はヒト化抗USAG-1抗体という再生医療薬で、2023年にフェーズ1の治験を開始しました。最初の適応症は、先天性無歯症と呼ばれる、永久歯が生えない遺伝性疾患の子どもたちです。動物実験では、歯の本数が少ないマウスに抗体を投与することで、正常な本数まで回復できました。

──まさに「歯生え薬」ですね。将来的には、どんな患者にも使えるようになるのでしょうか?

高橋氏:
最終的には、加齢や外傷で歯を失った人にも使えるようにしたいと考えています。また、第三生歯と呼ばれる、永久歯を失った患者さんにおいて次に発生する可能性のある「隠れた歯の芽」にも着目しています。全人口の約0.3%に存在するとされ、これを引き出す薬の開発も視野に入れています。第三生歯の可能性は昔から議論されていました。私たちはそれを“証明し、治療へつなげる”段階に来ている、夢を夢のまま終わらせたくないですね。

「伴走者」──xCAREの支援が果たした役割


──治験準備や製造体制の構築にあたって、xCAREがサポートをさせていただきました。実際に外部支援を活用してみて、ご感想などいかがでしょうか?

高橋氏:
はい、私たちのようなバイオベンチャーにとって、専門人材をすべて採用して社内に抱えるのは現実的ではありません。そこで、xCAREのエキスパートにスポットで伴走していただきました。フェーズ1治験のプロトコル設計、治験薬供給体制の構築、CMC(治験薬製造・品質管理)、海外のCDMO(製造受託機関)との連携マネジメント、そして米国での臨床開発戦略の立案など、多岐にわたる分野で支援を受けました。必要なときに必要な専門家がスポットで入ってくれる。ベンチャーにはこれが本当にありがたいんです。

喜早氏:
一般的なCROやコンサル会社では、どうしても「型にはまった支援」や「表面的なアドバイス」になりがちですが、xCAREさんは違いました。(xCAREの)エキスパートの方々が、私たちの研究背景やプロジェクトの狙いを深く理解した上で、まるで社内の一員のように関わってくれたんです。プロジェクトの中に“人として”入ってきてくれる感覚が、非常に大きかったですね。

──CROなどの競合他社や、新規採用と比較してスポット支援を選んだ理由はどこにありましたか?

喜早氏:

創業当初はあまり大きなコストを動かすことができません。そのためCMC人材が不足していた時期には、社内にフルタイム人材を雇うことができず、またCROやコンサル企業の支援では対応できない課題がたくさんありました。でもxCAREさんは、そこにピタッとハマる専門家を送り込んでくれました。それがなければ、フェーズ1の治験は実現できていなかったと思います。

高橋氏:

“抗体製剤は無理だ”と周囲に言われる中でも、「できるんじゃないか」と思えたのは、xCAREさんがいたからです。「必要なタイミングで、必要な専門性をもった人材をスポット的に活用できる。」これは、大きな企業や組織にはない柔軟な支援体制だと思います。

世界中の患者さんのため、次のステージへ


──今後の展望をお聞かせください。

高橋氏:
現在、米国での臨床試験も視野に入れて動いています。米国での治験展開に向けては、xCAREのネットワークを活用し、現地のエキスパートと直接議論する機会をいただきました。「P1からやるべきか、P2から入れるのか」など、基本的な治験の進め方についても実践的な知見を得られたのは大きかったです。国の支援事業にも採択され、資金的にも余裕が出てきました。歯科医療に革新を起こしたいという思いは変わりません。

──最後に、今後に向けて意気ごみをいただけますでしょうか?。

高橋氏:

やっぱり「歯が生える」というのは本当に歯科医師の夢ですからね。原理的に可能だと、誰しも言うんですけど、なかなか現実的なビジョンを描けなかった中で、ようやく我々はそのスタートラインに立つことができました。今までたくさん準備してきたものを生かしながら、本当に困ってる患者さん達に早く届けたいなというふうに思っています。

「歯を失ってもまた生やせる社会の実現」

xCAREさんのような伴走者と一緒に、この夢を本気で追い続けたいと思っています。

喜早氏:

トレジェムが順調に成長してきたのは、xCAREさんを含め、様々な方々のご支援のおかげです。これまでの感謝を忘れず、スタートアップの起業家として引き続き全力を注いでいきたいと思います。

課題


当時求めていた人材は市場で希少なうえ、高年収の方が多いため、固定費をかけずに必要な期間だけ必要な専門家が入る体制が望ましかった。外部委託を考えるが、大規模CROやコンサルティング企業では「担当者が見えにくい」「一般論が多く、実務的なアドバイスが得られない」等の課題があった。

支援内容

期間

①

国内第1相試験デザインの立案

6ヶ月

②

第2相試験デザイン立案と治験薬供給体制の整備

~数週間

③

海外CDMO(抗体治験薬製造委託業者)の管理

1年間

④

治験薬の輸入及び国内治験薬製造者に必要な体制と

⑤

米国FDAの薬事規制に照らした戦略コンサルティング

~数週間

エキスパート紹介


エキスパート紹介

A氏

開発戦略エキスパート。医薬品臨床開発における20年以上の経験があり、約10件の臨床試験・10プロジェクト以上の業務を担当。プロジェクトマネージャーとして、開発戦略の立案・推進や承認申請業務、グローバル品目のサポートを経験。

  • 開発品開発に伴う戦略相談、情報収集、ご提案をご担当いただいたCMCエキスパート

B氏

製薬業界にて30年以上にわたる経験を持ち、幅広いモダリティにおける製造法の開発・改良を担当。特に抗体や抗体薬物複合体製剤の製造関連の業務に強みがあり、初期のCMC開発からIND申請まで統括した経験を有する。

C氏

外資/内資の製薬業界における研究開発、薬事申請、品質保証(製造所監査を含む)など多岐にわたる経験を有する。現在は自社開発品の治験推進、関連申請、顧客企業の開発支援業務に従事。

  • 臨床開発エキスパート

D氏

医薬品及び医療機器のクリニカルオペレーション、人材管理。臨床開発およびクリニカルオペレーション(プロジェクトマネジメントおよびモニタリング)で 30 年の経験。 臨床試験に関連する人材管理で 20 年の経験。部門連係のチーム/プロジェクトをリードする複数の経験。 医薬品、医療機器、CRO にて臨床試験に関連する複数の経験。

  • 米国現地エキスパート

E氏

大手日系製薬企業の元エグゼクティブバイスプレジデント兼グローバル薬事・研究開発品質保証責任者として、新薬開発チームを導き戦略的専門知識を発揮。

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